カウンター越しの事情・・『表と裏』
2005/08/01 第0013号







カウンター越しのお客様や業界内部の事情・・
現役バーテンダーが世間の表と裏を連続ドラマ風にお届けします。
楽しくて可笑しくて時には涙なくしては語れない内容や怒りモード全快バージョンにご期待ください。
汚い人間関係、不倫、友情、恋愛と様々な事情が行き交います・・
すべてノンフィクションでお届けしております。

+++ お詫び +++
サーバーの状態により稀に画像が表示しないことがありますが
本文には影響ございません。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
尚、配信が1日遅れましたことを心よりお詫び申し上げます。





第0013話  『 職場の彼女から衝撃の告白 』


++登場人物++
(注)画像はイメージです。本人とは何の関係もございません・・

:私

:スタッフ 女性


職場には女性スタッフのほうが多い。
その中で、比較的大人しい女性がいる・・

その子が、今回の主人公である。


初めに言っておくが、この記事は書くかどうか迷った・・




書いて何かが変わる?


何も変わらない・・




自問自答の末に決断した。

私の中でどうしても抑えることができなくなり書こうと思った。
誤解しないで欲しい・・
面白半分でネタにしているわけではない。


なので、今回は『笑い』はゼロである・・
最後にオチもないのでご了承願います。







今まで、あまりプライベートなことを話したことのない彼女。
仕事上で話をすることはあっても、その他については何もデータがない・・


そんな彼女から衝撃の告白を受けたのは数ヶ月前。




少し、独特の世界を持っていて非常に興味深いことは確かだった。
でも、こちらが何を話しても一言二言返事が返ってくるだけで、話が続かない・・



なのになぜ俺にこの話をしてきたのかわからない・・




「洗い場のおばちゃんが・・」

「え?」

「後ろから急に抱き付いてくるんです・・」

「それは困ったなぁ・・」


彼女は泣きそうにそれを話す。

別に同性だしそんなに問題なことでもないのでは?
10代の子なんて抱き合って挨拶することもある・・

腕を組んだり、おしりを触ったり、胸を触ったり・・
そんな挨拶を若い子同士でしている。
もちろん同性同士だが・・

たまには仲間に入れて欲しいものだ・・(汗)
あ、話が反れて申し訳ない。





で、俺は・・

「洗い場のおばちゃんに仕事中に抱きつかれるのは嫌だよね?」

「はい・・」

「今度、そんなことがあれば俺が代わりになってあげる!」


なんて冗談で彼女を励ませようとした。


そのおばちゃん・・

「ほそいねぇ・・」
「かわいいねぇ・・」

などと言って肩や腰を触り、抱きついて来るらしい・・


コメントや行動はオッサンっぽくてキモイのだが・・
所詮同じ女性。


もしこれが、ホントのオッサンなら問題だし処罰もできるが
同性のおばちゃんだと注意するのも難しい・・


そのおばちゃんには悪気がないからだ。
彼女はそんなおばちゃんにやめてくれ!とは言いにくいそうだ・・



いままでに何回もあったそうだ・・
でも、私が聞いたのは今回が初めて。

色々と話をしていて・・

「たしかにウザイけど、同性なんだし・・」

「は、はい・・」

「注意しにくいようなら、背後をとられないようにするとか・・」

「でも・・仕事に差し支えますし・・」

「俺が注意するのも、角が立っておかしくなるしなぁ・・」

「もう、いいです。我慢しますから・・」


なぜ同性なのにそこまで恐怖を抱くのかが私にはわからなかった・・
たしかに、私もオッサンにそんなことされれば怖いし腹が立つけれど・・



「俺が○○さんとおばちゃんの間に、できるだけ立つようにする」

「ありがとうございます」



でも、それでは私も仕事に影響がある・・
しかも私がいない時間帯におばちゃんがいることもあるし・・



でも、今回のこの件について私は真剣になりきれなかった。
男はキモイけど女性同士なら腕組んだり手をつないだりすることは
他人から見ても自然に思える・・

なのにどうしてそこまで嫌がるの?
涙目になるほどツライことなの?

って感じが強かったから・・




「実は・・」



彼女が突然話しかけてきた・・

あまりにも私がいい加減にしか聞いていなかったのがバレたのだろうか・・(汗)
あ、いや・・私はちゃんと聞いて対応していたつもりなんだけど・・
多少、どうしてかな?って感じただけで・・




「実は私、過去に襲われたことがあるんです・・」

「・・・・・・・・・・・・え?」

「・・・・・」

「・・・・・・・・・・(汗)」



しばらく沈黙が続いた・・


「突然、草の茂みから男の人がでてきて・・」

「私を後ろから押さえつけて・・」

「そのままズルズルと茂みのほうへ引きずりこまれて・・」


彼女は泣きながら話してくれた・・

俺は、言葉もかけられずに聞くことしかできなかった・・


「馬乗りになられて・・」

「『騒いだら殺す・・』って言われたんです・・」


すごく小柄な彼女、たいていの男性なら押さえつけることは簡単なのである。

「でも、私逃げました・・」

「すき見て一所懸命にげました・・」

「服もボロボロになってたけど・・」

「たまたま走ってきた車を停めて乗せてもらいました」


そのとき車がたまたま通りかかっていなければ殺されていたかも知れない・・
逃げ出した状況もあまり覚えてないという・・


駅前なのに人も車もほとんど通らない夜道だった・・



私は、詳しく聞くことをやめた。
これって映画やTVの世界の話じゃないの?
何度も自分に問いかけた・・

でも、現実なのだ。


「だから、後ろから抱きつかれると思い出すんです・・」

と彼女はいう・・

トラウマになっているのだ・・

泣きながら・・

「怖いんです・・」


男性、女性関係なく思い出すという。
普段は忘れるようにしているらしいのだが・・

いつも大人しい子なのだが、すごく真面目で明るい子である。






そんなことは絶対に許せない・・



でも、私にはどうすることもできない・・




そう思う気持ちが今度は私自身を苦しめる・・

すごくツライ日々が続いた。
でも、彼女の気持ちからすれば
なんでもないことだ!と自分に言い聞かせてはいたが・・


今の私にできることはなんだろう・・


ずっとブルーになってて、仕事も手に付かず・・
ボーっとすることが多かった・・


そんな過去を持つ彼女も、毎日一所懸命がんばって働いている・・
それを見てると余計にツライ・・

常に笑顔がとりえの私だが・・
他人の事柄には弱いのだ・・



私の心の中にも・・
永遠に傷が残りそうだ・・



自分の為に動くことはなくても
人の為なら簡単に動いてしまう・・
たとえキケンな行為でも。


これが私の悪い癖らしい・・
よく周りからも言われる。




ある日、帰りが遅くなり・・
一人で帰っていると・・

駐車場の奥のほうで叫び声がした・・


「キャァー!」って・・


私の頭には彼女のことが思い出された・・
何も考えずに慌てて走って行った!








すると、数人の若い男女が楽しそうに話しているだけだった・・
ホッと安心もしたが、紛らわしいことするな!とも思った。

でも、その子達には何も関係ない・・
普通に楽しんで話していただけなのだから・・


でも、こんなことを繰り返していたら・・
私はいつか誰かに殺されるかもしれないなぁ・・




映画やTVに出てくる正義の味方は死なないけれど・・







本日も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします・・
皆様のご意見ご感想をお待ちしております。  kazubon



++++++++++ 次週予告 ++++++++++

『 シェフとの戦いにピリオド? 』
例のシェフとの第2ラウンド・・果たして勝者は!!



その他のラインナップ
『 怖いお客様・・ 』
『 ネット仲間 』
『 教育とは 』
『 182連泊の男 』
『 マダム 』








・素材の一部はAtnet Japan!様よりお借りしております。 Atnet Japan!




++ 発行者プロフィール ++


職業1:某有名ホテルのバーテンダー
職業2:『 kazubon's land 』オンラインショップ管理人
職業3:メールマガジン発行「カウンター越しの事情…表と裏」(毎週月曜日発行)
職業4:超零細企業経営

名前:kazubon カズボン
年齢:1972/06/15
性別:♂





home page




Copyright©2005 kazubon All Rights Reserved.