カウンター越しのお客様や業界内部の事情・・ 現役バーテンダーが世間の表と裏を連続ドラマ風にお届けします。 楽しくて可笑しくて時には涙なくしては語れない内容や怒りモード全快バージョンにご期待ください。 汚い人間関係、不倫、友情、恋愛と様々な事情が行き交います・・ すべてノンフィクションでお届けしております。 第0002話 『 母と祖母の40年戦争 』 また一つ星が増えた・・ 祖母が先日亡くなった。享年90歳、大往生である・・ 私の母は長男の嫁として40年前に嫁いで来た。 それから40年という長い月日が流れ、終戦を迎えた・・ 当時、嫁という存在は一番下にみられ、酷い扱いを受けていたらしい。 家事・雑用はもちろんのこと、舅や姑の世話までさせられる・・ 自分の子供や旦那の世話も当然。 それに加え、長男の嫁ゆえに小姑までも付いてまわるのである。 長男の嫁というより奴隷だろうか・・ 大所帯だった我が家では、母にとって毎日の暮らしそのものが戦場であった。 嫁イビリはもちろん、妊娠中に子供を下ろせとまで言われたそうだ・・ 産前産後も実家に帰してもらえず、散々こき使われたらしい。 祖父が17年前に亡くなってからは、主導権は私の父になり我々も大きく育ってきたので 嫁姑問題は楽になったと母は言う・・ 何よりも母が強くなってきたとも言えるが。 同じ食卓で食事もするが、祖母とは一切口もきかない状態で17年間を過ごした。 40年前からの出来事がどれほどだったのかが想像できる・・ +++後半へ続く+++ □ お客様からの名言 □ 「しゃっくり」と言う言葉は知っているだろうか? もちろん!と答える人は多いだろう・・ そう、横隔膜の痙攣(けいれん)により、急に空気が吸い込まれ声門が開いて音を発する現象。 この「しゃっくり」を止める方法も様々。 皆様独自の方法をお持ちだろうが・・ ちなみに私が今まで試した方法は ・逆立ちして水を飲む ・突然驚かせる ・コップに水を入れ反対側から飲む ・水をチビチビと1分間かけて飲む 中でも、最後の1分間チビチビが私には一番合っているようだ・・ しかし今回、お客様の名言により私の辞書に新たな項目が付け加えられた。 ある日突然、お客様Aが「しゃっくり」をしたのだ。 私が上記の方法を教えようかと思っていたら、隣のお客様Bが・・ 「なすびの色って何色?」 と、わけの分からない質問をした。 ( ̄~ ̄;) ウーン 一瞬、私も考えた・・黒?いや、紫か?なんて・・ 「紫じゃないかな?」とAが答える。 笑みを浮かべるB・・ その後、Aが「しゃっくり」をすることはなかった。 +++前半からの続き+++ 私の元に一通の電話がきた・・ 祖母が実家で倒れて入院したらしい。 それから約半年間の入院生活が続いた。 その間、母は一度も病院を訪れることはなかった・・ 私は何度も病院を訪れ祖母の話し相手になっていた。 昔にどんなことがあったにせよ、目の前にいる祖母を責める気は起こらない・・ そして私は祖母からこんなことを聞いた・・ 最後に母にお礼が言いたい、そして謝りたい・・と。 しかし、その思いを伝えることなく祖母は危篤状態に・・ 医師からは、あと1週間ぐらいでしょうか・・と聞かされる。 意識がなくなってからちょうど3日目・・ 突然何を思ったのか、いままで動かなかった母が祖母のいる病院を訪れた。 もちろん祖母が謝りたいと言っていたことは母には知らせていない。 そしてその夜、祖母が亡くなった・・ 言葉では伝わらない何かをお互いに悟ったのだろうか・・ お葬式の出棺のとき、母の目には涙が浮かんでいた・・ 何を思っていたのか、我々では想像のつかない思いがあったのだろう・・ そして長すぎた戦争が、いま終った・・ 棺桶の中にいる祖母の顔が、少しばかり笑顔に見えた。 本日も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。 これからもよろしくお願いいたします・・ 皆様のご意見ご感想をお待ちしております。 kazubon ++++++++++ 次週予告 ++++++++++ 『 打倒シェフ! 』 一流ホテルなのにシェフが一流じゃないって? その他のラインナップ 『 ザ・盗撮 』 『 消えたAさん 』 『 医者 』 『 困った常連客 』 『 有名女優が来たら? 』 ++ 発行者プロフィール ++ 職業1:某有名ホテルのバーテンダー 職業2:『 kazubon's land 』オンラインショップ管理人 職業3:メールマガジン カウンター越しの事情…「表と裏」 発行 職業4:超零細企業経営 名前:kazubon カズボン 年齢:32歳 性別:♂ 2005.05.16現在 |